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15年目へ。

 

※Facebookからの一部転載を含みます※
本日(9月23日)は岐阜・柳ヶ瀬商店街のいしぐれ珈琲にて「朗読濃尾(ノーヴィ)」通算第155回でした。今回は、今日・明日と開催中の恐竜体感イベント「柳ヶ瀬ジュラシックアーケード」に協賛して、太宰治の「鴎(かもめ)」の朗読でした。思えば昨年も中谷宇吉郎先生の随筆を読みましたが。
じゃあなんで今回は太宰?と思われるでしょうね。そっちじゃなくて作品のタイトルに理由があります。

 

約6600万年前、巨大な隕石が落ちてきて生物の大量絶滅を引き起こしたときに、鳥類以外の恐竜はすべて地球上から絶滅した、というのが定説です。ただし、それには例外がありました。地上で生活していたと思われるいくつかの鳥の種は天変地異を凌ぎ、親類の恐竜たちが次々と死に絶えていくのを尻目に、あっという間に勢力を拡大していきました。
「窓辺でさえずっているかわいらしい小鳥たちは、この地球上に現存している唯一の恐竜たちです」と述べる研究者の存在を、↓のサイトで知りました。

 

そうか鳥は恐竜なのか!じゃあそのあたりで作品探すか……と決めてはみたものの、結局は手近な太宰作品にしたのは、「私は唖(おし)の鴎だ」と自身を規定しながら、それでもどうにか生き抜こうとしていた、1940年の太宰を、私自身と重ね合わせたように思います。

 

そして、今回をもって、2009(平成21)年夏にスタート以来満14年を迎えることができました。休みなく来ていれば、単純に168回になったはずですが、この間新型コロナの影響だけでなく、災害だったりトラブルだったりで何回か抜けているための155回で、来月からは15年目に入ります。思わず指折り数えました。
ここまで来られたのは勿論、これまでお送りした配信を聞いて下さった方、移転前も移転後の店にお越しいただいた方、そしていうまでもなくプロデューサーの石博さん、今回も立ち会って下さったぽちさんはじめ、岐阜のみなさん、柳ケ瀬商店街の皆さんのお力添えあってのことであり、それなしでは続くことはありませんでした。改めて深く御礼を申し上げたいです。
本当にありがとうございました。
そしてこれからもどうぞよろしくお願いいたします!

 

柳ヶ瀬も大きく変わりつつあります。
かつての店跡地にはグラッスル35が建ち、今はキッチンフクイ2ndがあるあたりが、高島屋南商店街のメインストリートでした。高層マンションが複数林立したことに続き、いよいよ日ノ出町の中心部に残る長崎屋の旧店舗が撤去され、公園的な?広場の造成が始まるとのこと。どんな風景になるんでしょうね。いずれにせよ、未来に向かって進む柳ヶ瀬にひとりの読み手として関わりたいという気持ちにいささかも変わりありませんし、その心境は年月を重ねるうち徐々に明確になってきたように感じます。

 

その意味でも、私は柳ヶ瀬に育てられたのだな、とも考えながら、夜の街並みをパシャパシャ撮りながら帰ってきました。次回は10月28日(土曜日)です。配信はうまく行かなかったので、ちゃんと編集したものを急いでお見せできるようにします。また、リアルでもご来店をお待ちしております。
暑すぎる夏から秋へ、ようやく疲れも抜けて動き出せそうです、と書いているうちに日付が変わり、年齢をひとつ重ねました。48歳、年男のニシムラもどうぞよろしくお願い申し上げます。

こんな風に歳を喰いたい② 出村孝雄先生の口演童話

前稿から続く②です。吉森さんの話を受けて、というほど過去の思い出に振れた話ではなく、むしろ未来に向けた目標のようなものができた、ということで、いつか書き残さねばと思っていた話です。

コロナ禍のまっただ中、外出も極端に少なくなった暇を埋めるように、読んではYoutubeに上げというプロセスを繰り返しました。それまでは柳ヶ瀬での録画を1ヶ月に1本上げるだけだったのですが、この4、5月の2ヶ月で11本のアップです。ユーチューバーって大変だなあ…、と最近すっかり定着した感のあるあの職業の片鱗を体験したような気がしました。今後も上げていきますし、実はこの後、午後4時半に1本上がるのですが。

■そんな中で、これから、岐阜で、柳ヶ瀬で何を読んでいこうかということを考えたのです。もちろん山本周五郎を始め、青空文庫に収録された作品を読んで残していくのは勿論なのですが、できれば地域に根付いた作品を読みたいというのは常に願望を抱いていて、これまでに #麒麟がくる とも絡む吉川英治「新書太閤記」や、岐阜信用金庫の社史的読み物「長良の篝火」を読んできました。そういう作品、どこかにないだろうか、と。

■そう考えていたゴールデンウィーク中、岐阜大学の出村先生のエントリで知りました。出村先生のおじいさまが童話作家であったこと、その口演の模様がアップされたものを拝聴しました。あくまで穏やかに、とても優しい語り口の作品群がすごく良いなあと思うと同時に、カセットテープでの録音を基とする音源に、ある種の凄みを感じたのです。

https://pekeronpa.com/writer/

■子どもたちに聴いてもらう読み、自分にも経験はありますが、何の照れもてらいもなく物語に向かってくる、そのテンションは凄いです。学齢が上がるに従って、読む側の私の声への意識が徐々日に高まってきますが、幼稚園から小1くらいまではそれをも超えて、読む側の存在そのものに突進してくる。自分のコンディションによっては、それは恐怖さえ感じるものかもしれませんし、実際そう感じたことが私にはありました。

■出村孝雄先生の中にも、或いはそんな惑いや恐れはあったのかもしれません。それをみじんも感じさず、どこまでも穏やかで優しい、包み込むような感触。どこまで行けるか分からないけれど、こういう読みを目指したい、と思えたのでした。

■「ペケロンパチャンネル」ぜひ1度、お聴きになってくださいませ。https://www.youtube.com/channel/UC0vrawuUhBALeQPAV8O27hA/