今日また、ここから(2)キクマサプロジェクト「安土桃山エレファント」

ナビロフトでの千秋楽。1枚の写真。遡ること15年前の春、再び朗読を始める前まで所属していた劇団に彼を引っ張り込んだのは、他ならぬさらに5年前の私でした。他でもない「集中チ(○)療室」のことです。

23歳と25歳の血の気しかない男2人は、寝食を忘れる勢いで芝居とコントを作り続けました。ウソです。できない私は泣き言ばかり言っていました。彼に叱咤され通しでした。2003年の春、クラブ・ダイアモンドホールでの公演後、自分がひとりで活動を続けることを伝えた場で、彼は泣いてました。きっと本人は否定するでしょうけれど、確かに泣いてました。

その男、中村宙矢(ちゅうや)は現在に至るまで、歳相応の抱えるものを抱えながら、ひとりの俳優として名古屋で生き続けてきました。2年前に「青空」(前の(1)のエントリ参照ください)で初めて銀賞を獲れたときもひどく喜んでくれた彼は、「次は金賞しかないだろお前!」と今回も。

今回の結果を伝えた返事に、こんな返事が返ってきました。

「挑戦者の方が面白い!人は1番になると調子にのるからな!」

昨日のキクマサプロジェクト「安土桃山エレファント」で彼が演じた織田信長そのものが吐いた言葉が、そこにはありました。他でもない、私が柳ヶ瀬の「朗読濃尾」で読み続けてきた「新書太閤記」に出てきた信長そのものでもありました。

「人は挑戦している限り負けはしない」

出会って20年目で、まさか奴に泣かされることになるとは、本当に夢にも思いませんでした。

この舞台には、彼だけでなく、お互いにこの15~20年を知っている顔が舞台上に顔を揃えていました。代表の菊正(宗)、こちらも旗揚げ20年を迎える「天然求心力アルファ」の山口純、川崎稚子のご両人、実は就職後初めての舞台で一緒になった葉月充(本人はわすれてそう…)、こりんちゃの佐東えり、そして作・演出の間拓哉、場所や名前は変わっても、必死に歩こうとしている面々で再会して話をすれば、やはり自分だけが逃げ出すわけにはいかないのだ、と、最初に出発した場所にまた、戻ってくるのです。

第11回での金賞を目指して、今日また、ここからスタートです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA