2018年11月

今日また、ここから(2)キクマサプロジェクト「安土桃山エレファント」

ナビロフトでの千秋楽。1枚の写真。遡ること15年前の春、再び朗読を始める前まで所属していた劇団に彼を引っ張り込んだのは、他ならぬさらに5年前の私でした。他でもない「集中チ(○)療室」のことです。

23歳と25歳の血の気しかない男2人は、寝食を忘れる勢いで芝居とコントを作り続けました。ウソです。できない私は泣き言ばかり言っていました。彼に叱咤され通しでした。2003年の春、クラブ・ダイアモンドホールでの公演後、自分がひとりで活動を続けることを伝えた場で、彼は泣いてました。きっと本人は否定するでしょうけれど、確かに泣いてました。

その男、中村宙矢(ちゅうや)は現在に至るまで、歳相応の抱えるものを抱えながら、ひとりの俳優として名古屋で生き続けてきました。2年前に「青空」(前の(1)のエントリ参照ください)で初めて銀賞を獲れたときもひどく喜んでくれた彼は、「次は金賞しかないだろお前!」と今回も。

今回の結果を伝えた返事に、こんな返事が返ってきました。

「挑戦者の方が面白い!人は1番になると調子にのるからな!」

昨日のキクマサプロジェクト「安土桃山エレファント」で彼が演じた織田信長そのものが吐いた言葉が、そこにはありました。他でもない、私が柳ヶ瀬の「朗読濃尾」で読み続けてきた「新書太閤記」に出てきた信長そのものでもありました。

「人は挑戦している限り負けはしない」

出会って20年目で、まさか奴に泣かされることになるとは、本当に夢にも思いませんでした。

この舞台には、彼だけでなく、お互いにこの15~20年を知っている顔が舞台上に顔を揃えていました。代表の菊正(宗)、こちらも旗揚げ20年を迎える「天然求心力アルファ」の山口純、川崎稚子のご両人、実は就職後初めての舞台で一緒になった葉月充(本人はわすれてそう…)、こりんちゃの佐東えり、そして作・演出の間拓哉、場所や名前は変わっても、必死に歩こうとしている面々で再会して話をすれば、やはり自分だけが逃げ出すわけにはいかないのだ、と、最初に出発した場所にまた、戻ってくるのです。

第11回での金賞を目指して、今日また、ここからスタートです。

今日また、ここから(1)青空文庫朗読コンテスト

一昨日の、大阪市青少年センターで行われました、「第10回 青空文庫朗読コンテスト(主催:一般社団法人日本朗読検定協会)」において、687名の参加者から、本選出場者の30名に入り、本選での朗読の結果、第2位にあたる銀賞をいただくことができました。本日ここまで、本当にたくさんのお祝いの言葉をいただきまして誠にありがとうございました。

これまで、2015年に行われたこのコンテストの第7回で審査員特別賞、翌年の第8回で銀賞、1回お休みを挟んで今回こそはてっぺん(金賞)と思ったのですが、一歩及びませんでした。しかし、今回課題として取り組んだ「海酒」(作/田丸雅智海色の壜」所収)に出会えたことは、まさに朗読者としての財産になりました。これから是非、長いお付き合いをさせていただきたいと思います。田丸さん、この度はお世話になりました。ありがとうございました!

で、新大阪駅で他の参加者の皆様からお祝いをいただき、帰宅して日が変わって日曜日、たまっていた疲れからか起き上がることもできず、午後になってようやく前々からの約束の場所へ行ったわけですが、これは改めて。